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鐔・小道具画題事典・2冊/沼田鎌次/一つ一つの主題に綿密な考証を加えた本は他にない・お世辞抜きに不朽の名著として後世に残るであろう |
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昭42年- 302P 部数は少なそうです。資料用にもいかがでしょうか。
お世辞抜きの名著
東京国立博物館 佐藤 貫一 工芸課長文学博士
鐔や小道具にほどこされている図柄は大別して文様と絵風の二様がある。そしてその中にはそれぞれの意義の含まれているものと無意味のものとがある。 「日本人は民族性として、単に実用的に優れ十分にその機能を発揮すればそれでよいとして満足することをしない。そこに必ず美術性を要求し、それを鑑賞するという態度が濃厚である。
実はこれは独り日本人にかぎらず、あらゆる民族に共通することであり、それが文化という名で呼ばれるわ。 であるが、日本人はそれの追及が特にいちじるしい。
太刀や打刀の鐔は元来はそれぞれの刀工が一刀を打ち上げるごとに、それに一枚の鐘を添えたものという。こ れは確たる証拠は少ないまでも、実際にそうあったであろうことを疑わない。
それがいつの間にか、別に太刀金具師が生まれ、鐔工が出現して、実用と鑑賞とを兼ねたものを作り上げるこ いたったものであり、やがては、金工舞の出現となる。
日本人の教養は仏教、儒教、キリスト教、国学、漢学、蘭学とあらゆる宗教や学問をとりいれて、それをわが薬籠中のものとして生活文化を豊かにしている。
まえがき
この事典の編集を思いついたのは古く、やがて十年に近い。 「日常、刀剣、鐘・小道具に接していて、最も閉口させられたのは、鐘・小道具にみる画題のときに難解、とき に不明のことであった。自身困ることも少くなかったが、ことに愛好家から質問される場合にしかりであった。
そんな場合、しみじみ感じさせられたことは、われわれ年配者ならイロハとして知っている図柄でも、このごろの若い人はこれを知らないということであった。これはこのままにして置くと間もなく何も判らなくなってし まうに違いない。今のうちに、判っているだけでも書きとめて置く必要があると痛感させられたのである。
当時、博物館の刀剣室長であった佐藤貫一博士とも相談一決し、取急ぎ、折りにふれてのものを刀剣保存協会 の機関誌「刀剣美術」に掲載することにした。毎月一、二点ずつ掲載してすでに二年にはなる。
この計画は有益だったと信じている。こうして連載しているうちに、月に一、二点では手ぬるい、とりあえず 二、三冊の単行本にせよ、との声が、ことに地方から聞こえてきた。また二、三の出版社からもその勧めがあっ た。そこで欠点だらけでも一応単行本にまとめようということになった次第である。
ところが、筆をとりはじめて間もなく病に罹り、加えて予想だにできなかった一身上の事故ができて、原稿は 停滞してしまった。その出版社の計画、四月上旬発行は大幅に崩れた。出版社雄山閣と、何よりも読者諸賢に対 してなんとも申訳なく、深くお詫び申し上げる次第である。
鐔・小道具の画題は、作者から題名を示されることがないので、江戸時代に入ってから一般的となった謡曲、軍記、物語などから図に当て嵌めて決めなければならない。翻案もあればつくり変えもかなりあって、解明の困難なものにかなりに突き当たる。この場合は推定、積極的な断定をする以外になく、したがってまた誤りも生じ やすい。これらの誤りは読者の皆様のご協力により逐次訂正して次代の人々に遺す以外に途がない。皆様の長い ご協力をお願いする次第である。
もともと画題の解明は、過去の数多の書物を読むことによって何人にも可能なのであるが、それらの機会を持 たれぬ方たちのために、いささかなりとも労を省く身がわりのつもりで、烏滸がましくもこの編纂を思い立った ものであり、皆様のご寛容をひとえにお願いする次第である。
この書物の編集にあたって、画題の解明、鐔・小道具および写真の提供、撮影などについてお寄せ下さった勝 矢俊一、佐藤貫一両博士、小笠原信夫、柴田光男、塩野直茂、谷本宗平、野田喜代重、藤井学、本阿弥光博、吉 野辰男、横山碩致、若山泡沫氏ほか、刀剣協会各支部の皆様の絶大なご援助に対し、深甚な感謝の意を表すると ともに、なお今後のご協力を切にお願いする次第である。
昭和四十二年八月
沼田 鎌次
お好きな方いかがでしょうか。
中古品ですので傷・黄ばみ・破れ・折れ等経年の汚れはあります。外箱傷、ややしみ、小破れ。ページ小黄ばみ、ややしみ。ご理解の上、ご入札ください。ご理解の上、ご入札ください。 もちろん読む分には問題ありません。503593新
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