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李朝の文房具展・朝鮮陶磁シリーズ/李氏朝鮮時代に制作された文房具のうち陶磁器製のものに限ってここでは取りあげる/全111点を収録 |
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朝鮮陶磁シリーズ19 1994年 25P 部数は少なそうです。資料用にもいかがでしょうか。
李氏朝鮮時代(1392-1910)に制作された文房具のうち、陶磁器製のものに限ってここでは取りあげる。
文房具は、中国のとくに宋時代以降、文人がいっそう拾頭してくるにともなって、単なる書斎の用具としての実用性を持つに止まらず、文人生活を濃く色どる伴侶として精神的な意味合いすら帯びることとなった。こうした傾向は、同時代の朝鮮半島にも波及し、12世紀、高麗青磁最盛期における童児童女、龍、猿、鳥、瓜など物のかたちを写した珠玉のような青磁水滴や筆架にうかがうことができる。
朝鮮王朝においては、その前期に粉青沙器、白磁、青花に水滴や銅などの作例があるが、決して多くの数ではなかった。 堰を切ったように陶磁器製の文房具の生産に拍車がかかるのは18世紀後半以降のことである。このころ、朝鮮王朝の経済的基盤は安定し、民需も旺盛になり、中国清文化を大らかに受け入れ磁器の技法や造形に反映させ、それを李朝風に見事に変容させた。文房具の主力になったのは水滴、筆筒であり、ほかに紙筒、硯、筆洗、筆架、黒床、印などがある。
これらの文房具の技法や造形を通して、胸磁史的変遷の跡が辿れるほか、朝鮮と中国との比較文化的視点、すなわち陶磁器の受容において朝鮮が摂取し、あるいは忌避したものは何か、また文房具の需要者である文人の性格や、椅子式と座式という書斎空間の相違が造形にどのような影響を与えているかなど、研究の対象は次々と拡がっていく。
末尾ながら本企画展に貴重な作品を貸与下さった機関・個人所蔵家に心から感謝の意を表するものである。
1994年9月 大阪市立東洋陶磁美術館 館長伊藤郁太郎
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