洪QUALITON　イムレ・ウンガル(pf)　ショパン：24の前奏曲　盲目の天才による名演

洪QUALITON HLPX148 イムレ・ウンガル(pf)の演奏で、ショパン：24の前奏曲。オリジナル。

目の見えない方と関わったり話をすると、聴力や嗅覚、または温覚などの皮膚感覚に驚くほどの鋭さを持っていることがわかります。イムレ・ウンガルは1909年ハンガリー生まれの盲目の天才。天才と言うのはこのショパンを聴いていただければ分かると思います。1932年第2回ショパンコンクールで、同率の末コイントスによってニ位となりましたが、録音を聴く限りウニンスキーよりも明らかに優れたピアニストだと思います。ピアノという楽器が、「触れる」ということによって成り立っていることをこれほど感じさせる演奏はありません。1番からは手の温度が伝わってくるような温かな音色。2番は暗闇のなか手探りで音楽を探し求めるようなタッチ。ふと自分が切り立った絶壁の上にいることがわかって、その深淵に怖ろしくなるほどです。8番の幾重にも編み込まれた情念の糸には背筋がぞくぞくしますし、12番からは血潮の熱さが温度として伝わってきて声を失うほどに心にくる。まるで鍵盤が想い人であるかのように、ためらいつつ触れているのが伝わってきます。15番「雨だれ」では音の外面を張るのではなく、内部に音楽を込めているからでしょうか、この音を聴いていると部屋のなか雨音を聴くのではなく、雨が服のなかに入り込んでくるようです。16番の音運びからは、視覚で捉えるような未来がなく、今ここの音を数え上げるような生の在り方が伝わってくる。19番の音のつながりは、有機体のような連続体がもしょもしょとしていて奇っ怪なほどに面白く、20番の寂莫たる風景には圧倒されました。先の風景ではなく、今ここに切り拓かれる空間といえばいいのか。この感覚は凄いです。23番のリズムはなんてやわらかで楽しいのか。音をお手玉のようにして遊んでいます。最後24番の目を閉じて海の波を浴びるような質感。この音の質感は異様であり、同時にきわめてリアルな何かを感じます。ウンガルの見るショパンの風景は唯一無二。この人のまた異能の人です。

盤質：盤面きれい。チリパチ少しくらいで溝状態良く、第一面：ほとんど美品、第二面：ほとんど美品～きわめて良好。

ジャケ：素晴らしいデザインのジャケです。シール貼り。きわめて良好。

【盤質評価】全面視聴してから出品しています。区分は以下のものを採用しておりますが、必要に応じて詳しく説明するようにしています。

美品(Ｍ)：新品並みの状態。

ほとんど美品(ＮＭ)：極浅い擦れや軽微な傷。

きわめて良好(ＥＸ)：年相応の擦れや浅傷。ひどいものはなし。

良好(ＶＧ)：擦れや傷などが目立つ。＊音溝が活きてなければ出しません。

■丁寧に梱包して送ります。またトラブルなどには誠実に対処いたしますのでよろしくお願いいたします。