露MELODIYA　ルーク(pf)　シューマン：幻想曲、エッレル：鐘ほか　エストニア最高のピアニスト

露MELODIYA D26415-6  ルーク(pf)の演奏で、シューマン：幻想曲、エッレル：鐘、ユモレスク、前奏曲、エストニア舞曲。リガのみ・オリジナル。

ルークは1909年生まれのエストニア最高峰のピアニスト。ロシアに生まれ、3歳頃エストニアに移住します。リガ音楽院で学んだ後ベルリンへ留学し、レオニード・クロイツァーにピアノを、ヒンデミットに作曲を学びます。帰国後は多くの弟子を育て、またアルヴォ・ペルトを含むエストニア作曲家の多くの初演を任されました。エストニアのクラシック・ピアノの系譜は殆どルークから発しているといっても過言ではないほどです。残念なことにソロ録音は決して多くないですが、このシューマンは全盛期の貴重な記録です。ロシア・ピアニズムとま全く違う異質の美学の持ち主で、音の透明度が他の比では無い。タッチは吃驚するほど見事に分離し、第一楽章からまるで蝶の大群のように飛翔する。ロマンをふんだんに込めていますが、この涼やかなピアニズムにおいては全くくどさを感じさせない。シューマンってこんなに繊細で精緻で精密な肌触りだったのかと驚きます。零下の温度感でありながら、はんなりとした湿り気があってゾクゾクします。そして第二楽章がまた素晴らしい。小さめの音、響きは簡素にして美しく、静かに脈打つ音楽が胸を衝く。こういうのは他では聴けません。このルーク独特の世界観は第三楽章にも続き、派手な表情付けをせずともこんなに美しい世界を構築する手腕に驚きです。それにしても一体どうやったらこういう音が出せるのか、これもエストニアの美意識なのでしょう。エッレルはエストニアを代表する作曲家の一人ですが、このルークの演奏はきわめて美しい。特に第一曲目の「鐘」が素晴らしいです。低音が豊かにやさしく空間を満たしていきますが、そこにある生々しい触感が異質です。まるで暗い胎内のよう。情緒的な世界がいつの間にか生物めいたナマナマしい世界をつながっていく。グロテスクと紙一枚隔てた美しさが素晴らしい。サールもそうですが、エストニアの音楽には生物が棲めない冷たい世界と思いきや、そこに突如生々しさが噴出するような音楽が多い気がします。ただ涼やかなだけではない、容易くない世界です。シューマン、エッレルともにルークの美意識を味わえる素晴らしい演奏。ロシアとはまるで異なる峰に立つ演奏を是非体験してみて下さい。

盤質：第一面に小さなバブルあり数回ポツノイズ。他は問題なく、盤面溝とも良い状態。ほとんど美品。

ジャケ：きわめて良好。

【盤質評価】全面視聴してから出品しています。区分は以下のものを採用しておりますが、必要に応じて詳しく説明するようにしています。

美品(Ｍ)：新品並みの状態。

ほとんど美品(ＮＭ)：極浅い擦れや軽微な傷。

きわめて良好(ＥＸ)：年相応の擦れや浅傷。ひどいものはなし。

良好(ＶＧ)：擦れや傷などが目立つ。＊音溝が活きてなければ出しません。

■丁寧に梱包して送ります。またトラブルなどには誠実に対処いたしますのでよろしくお願いいたします。